初恋マニュアル
二学期
久しぶりの制服は新学期にふさわしくパリッとしていて気持ちがいい。
サンダルばかりだった休みとはちがう白い靴下にローファー。
少しだけ伸びた髪を二つに結ぶ。
鏡の中の自分を見つめながら、背筋がピンと伸びるのを感じて気合を入れた。
「いってきまーす!」
元気よく玄関を出た私を、お母さんはなんだかうれしそうに見送ってくれた。
一学期の終わり、あんなにゆううつだった学校がウソみたいに晴れやかな気持ちで駅へと向かう。
待ち合わせの駅の改札には、ついこの間顔を合わせたばかりの愛里が、同じように制服姿で私を待ってくれていた。
「愛里!ごめん、待った?」
「ううん、私もさっききたとこ」
そう言ってニコッと笑う愛里は、制服でもやっぱり可愛い。
私の自慢の親友だ。
高校生になってテニス部に入った愛里は、夏休みの間も部活が忙しくてなかなか会えなかった。
それでも毎年かかさず誘ってくれていた夏祭りに、今年も一緒に行こうって言ってくれたのだ。