初恋マニュアル
あとで知ったのだけれど、男子はみんな三浦くんと同じ陸上部で、どうやら愛里たちテニス部とは仲がいいらしい。


夏休みに入ってすぐの合宿で、陸上部とテニス部は同じ宿だったのだそうだ。


私がなんにも知らないでやることもなく宿題をやり終え、一歩も外に出なかった頃だ。


合宿から帰っても、何度かカラオケに行ったりボーリングに行ったり、みんなで遊んでたらしい。


今さらだけど、私もテニス部に入れば良かったななんて思ったのはみんなには内緒だ。


現実的に運動部に入るほど体力がないのは自分でもわかってる。


ただ、自分だけがそこにいなかったって事実がさみしいだけ。


みんながしゃべるのを横目で見ながら、自分にはわからない話にもあいまいにうなずいていると、愛里と夏帆ちゃんを通り越して一人の男子が私の方をのぞきこんできた。



――な、なに!?



名前はわからないけどたぶん、同じクラスの人だと思う。


とっさにみがまえると、彼はニコッと笑って



「丸山さんて、学校だとおとなしいけど、テニス部の女子と仲いいってことは、ほんとはちがうの?」


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