初恋マニュアル



目を開けると、白い天井が見えた。


横を見ると周りがカーテンで仕切られている。


かけられた布団は糊のきいた白いカバーがかかっていて、私はようやくここが保健室なんだと気がついた。


頭の下にはアイスノンがしかれていて、冷たくて気持ちがいい。



ーー私、暑くて倒れたんだ……



愛里が運んでくれたんだろうか?


それとも先生?


ひんやりした部屋はエアコンが効いてるらしく、体のほてりはすっかりなくなってる。


かえって寒いくらいだ。



――あーあ、新学期から何やってんだろう?



横になったままで、自然と大きなため息がもれる。



ーー目立つの好きじゃないのに……



昨日の夜、久しぶりに学校だと思ったら、興奮して眠れなかったせいかもしれない。


朝御飯も、リンゴを一口かじったくらいだったから。



「はぁ……」



もう一度、大きくため息をつくと、カーテンの向こう側になにか動く気配がした。
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