初恋マニュアル
右手は私の頬に触れたままだ。


なんだか王子様がお姫様にキスするシーンみたいで、ドキドキした。


私は彼から目がはなせないまま、そんなことを思った自分がはずかしくなる。



「あれ?まだ暑い?顔が赤い」



そう言うと同時に、今度は私の頬を両手で包み込んだ。



――ちょっと待って待って!そんな風に触られたら、心臓が壊れちゃう!



たえられなくて、私はギュッと目をつぶった。



「あ……ごめん」



パッとはなされた三浦くんの手。


きっとこんな風にだれかに触れるのは、三浦くんのくせ。


そして、それは無意識のものなんだろう。


じゃなきゃ、相当の女ったらしってことになる。


ゆっくりと目を開けると、首に手をやって気まずそうに立っている三浦くんがいた。



――うん、やっぱり無意識の方みたいだ。



フフッと笑ってしまうと、三浦くんは不思議そうに私を見る。



「なにがおかしいの?」


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