初恋マニュアル
そう思ったときだった。


ぷ……と吹き出すような声が聞こえて、ハッと我に返る。



「あ、ごめん。なんか青くなったり赤くなったり、丸山の顔クルクル変わるからつい……ぶふ」



がまんできないというように、今度はおなかをかかえて笑いだす三浦くん。


私は三浦くんてこんなに笑う人だったんだ、なんて変なことを考えてた。


だっていつもは静かに笑うイメージで、大きな声を出すところって見たことない。


黒板のときだってクスクスと肩を揺らしてがまんするように笑ってたし。


ずっと、三浦くんは大人で落ち着いた人だって思ってたから、これは意外だ。


でも、なんかうれしいかも。


三浦くんも私たちとおんなじなんだって、なんだか安心する。



「あの……笑いすぎ……だよ?」



全然笑いのおさまらない三浦くんに、思わずそう言った。


私の顔が面白くて笑うとか、よく考えたらひどい。


そういえば前に放課後、ほかの男子たちと話してたときも、そんなこと言ってたなぁなんて、私はほっぺたをプウッとふくらませながら思い出した。
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