初恋マニュアル
幸い、愛里と同じクラスになれたせいもあって、私はまた愛里としか話さなくなった。


よく考えたら、私は愛里の高校生活のじゃまをしてたのかもしれない。


だって、きっと愛里にだって、高校生になったらっていう、理想があったはずだから。


また中学の時と同じ私のお守りなんかイヤだったのかもしれない。


テニス部に入ったのだって、やりたいことあきらめたくないって言ってた。


いつまでも変わらない私に、何度も変われって言ってくれてたのに……


三浦くんとはちがうやり方で、でも三浦くんと同じ意味で。



「消しゴムの一件から、わりと俺とは話してくれてたから、それがきっかけで他のヤツとも仲良くなれたらいいなって思ってたんだ」



「そ……か」



うん、やっぱりね?


わかってた。


三浦くんは私だからそうなんじゃない。


もし私以外のだれかが、孤立してたとしても、三浦くんは間違いなく気にかけるんだろうと思った。


ちょっとでも期待した自分がはずかしい。


そんな下心なんか、ある人じゃないのはわかってたのに……
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