初恋マニュアル
少しだけシュンとした私の表情を見たのか、三浦くんはすぐにあれ?って顔をした。


そんなつもりじゃなかったから、すぐに気持ちをきりかえたつもりだったのに、三浦くんにはかくせないらしい。



「ごめん、具合悪いのになんかいっぱいしゃべっちゃったから疲れちゃったかな?」



「ううん、そんなことない。むしろ、いてくれてうれしかったし……」



あわててそう否定したけれど、三浦くんはすでにイスから腰をあげかけてた。



「そう?なら、いいけど。でもあんまり顔色良くないし、もう少し寝てた方がいいよ?先生には俺からそう伝えとくから、ゆっくり休んで?」



コクッとだまってうなずくと、三浦くんはイスから完全に立ち上がった。



「じゃ、俺、行くね?」



バイバイと小さく手を振って、最後にお大事にって言いながら、カーテンの向こうに消えていった。


ガラガラっとドアを開ける音がして、パタンと静かにまたドアが閉まる。



――行っちゃった……



はぁ……とため息をつきながら、布団をバサッとまくってゆっくり上半身を起こしてみた。


やっぱりまだ少しめまいがする。
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