初恋マニュアル
男子は特に三浦くん以外は、あいさつ程度しかしたことがない。


そういえば羽生くんはその中でも、あの夏祭りからよく話しかけてくれるようになった。


愛里を中心に……ではあるけれど。


愛里の席を通りすぎるときには必ず立ち止まって、なにか話していく。


私は愛里の隣の席だから、必然的にそれを聞いてる形になって、たまにこちらに話をふる羽生くんに、あいまいな笑顔とうなずくことで返していた。


わりと人気のある羽生くんは、可愛い顔をしていて身長は愛里より少し高いくらいだ。


それが少し幼く見えて高校生には見えないから、少しだけ私と似た者同士な気がしていた。


スマホの画面を見つめながら、ふとあることに気づく。



――あれ?羽生くんも部活のはずだよね?



たしかさっきもホームルームが終わったと同時に教室を出て行った。


それなのに受信したのはたった今だ。


キョロキョロと辺りを見回してみるけど、帰宅部らしき人がちらほらいるくらいで、羽生くんらしき人はいない。


仕方なくローファーにはきかえて外にでると、陸上部が練習してる校庭の方をジッと見てみた。
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