初恋マニュアル
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「もぉ!なんで勝手に教えちゃうの?」



その日の夜、私はいきおいづいて愛里にLINE事件のクレームをつけた。



「ごめんごめん。だってさぁ、たまたま部室の近くで会ったら、羽生がおがみたおしてくるんだもん。断れなくなっちゃってさぁ」



「それにしたって、三浦くんとLINEしてることまで言わなくてもいいじゃん」



LINEのIDは100歩ゆずって許したとしても、そっちは正直言ってほしくなかった。


三浦くんとのLINEは、私にとってそれほど大事にしておきたい宝物なんだから。



「あぁ……それもね?話の流れでつい……」



「つい、じゃないよ!愛里のおしゃべり!」



いつもはこんなに愛里に対して怒ることなんてめったにない。


長い付き合いだから全くないとは言えないけれど、こんなに怒ったのは初めてだ。


高校生になってから、愛里は私をだれかとくっつけたくてしょうがないみたいで、それでも三浦くんのことは応援してくれてるんだと思ってた。


まさか、ほかの男子まで推してくるとは思ってなかったから、びっくりだ。


たしかに三浦くんのことは友達だって宣言してるわけだから、仕方ないのかもしれないけれど。
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