初恋マニュアル
彼氏を作ることも中学生の頃は夢だったはずなのに……


ただあこがれていたときと現実は全然ちがった。


だれでもいいわけじゃないんだってことを、今ひしひしと感じてる。


いっそのこと、三浦くんに気持ちを伝えてしまおうか?


もし、それでフラれてしまえば、私の気持ちも次に向かえるかもしれない。


私を気に入ってくれてるって言ってる羽生くんと、愛里の思うとおりに付き合えたらどんなに楽だろう。


由宇ちゃんみたいに、私も彼氏を作って高校生活をあんな風に楽しめるのかもしれない。


もう一度大きなため息をつきながら、ベッドにドサッと寝転がる。


両腕を顔の前で交差させて、三浦くんの顔を思い浮かべた。


彼女……とかいるのかな?


少なくともうちの学校にはそれらしき女の子は見当たらない。


だれにでもやさしいから、きっと私以外にも三浦くんを好きな子はたくさんいる気がした。


愛里の言葉が頭の中でこだまする。



『三浦くんに好きな人の相談されても応援できるって言ったよね?』



自分の気持ちに気付いてしまった今、それをかくして相談になんかのれる?


たえられるのかな?そのときが来ても……


まだ起きてもいないことをグルグル考えながら、さっきよりももっと憂鬱な気持ちになった。
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