初恋マニュアル
一人で舞い上がっていると、目を真ん丸にしておどろいたように私を見ている羽生くんに気づいた。



――あ……やば



急にはずかしくなって、あわてて下を向く。



「丸山って、けっこうしゃべるんだね?びっくりしたぁ」



チラッと目線だけを上げると、羽生くんは口に手を当てながらあせったような顔をしてる。


私はますますはずかしくなって、また目線を下げた。



「あ……のさ」



羽生くんが、さっきよりも遠慮がちに口を開いた。


いつもの羽生くんらしくない、緊張したような声。


思わずまた羽生くんの顔を見上げると、私を見ているとばかり思っていた彼の視線は、どこかちがう場所を見ていた。


不思議に思いながら、そのまま羽生くんが話し始めるのを待っていると、チラリと目線だけを私によこした。


それから、はあ……と急に大きなため息をついて、それからなにかを決心したように体ごとグルリとこちら側に向ける。
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