初恋マニュアル
「それとも……俺と、うわさになったのがイヤだった?」
「そ、そんなこと!……ない」
実際にそんな風に言われたら、否定するしか出来ない。
ましてや、羽生くんのせいでもないわけだし。
「じゃあ、どうして一人でここ?」
顔は見れないけど、声でわかる。
真剣な声は心配してくれてる証拠だ。
「いや、とかじゃなくて……あんまりさわがれたりするのが、苦手っていうか……それに羽生くんと、せっかく友達になったばっかりなのに……こんな風にうわさになっちゃうと、普通にはしゃべりづらい……っていうか」
ちゃんと言い訳になってるだろうか?
チラリと目だけを羽生くんに向けてみると、ほおづえをつくようにアゴを手に乗せてむずかしい顔をしてる。
やっぱりうまくごまかせなかったんだと小さくため息をつくと、羽生くんが急に大きく伸びをした。
「うーん、気持ちいいね?ここ」