初恋マニュアル
真実
薄暗くなった道を、とぼとぼと愛里の家に向かって歩いていく。
愛里が部活から帰るころをねらって、一度家に帰って着替えてきた。
カーキのショートパンツにニーハイソックス、ボーダーのトップスの上にGジャンを羽織る。
少し肌寒い夕方の気温にちょうどいい感じだ。
凛とした空気をいっぱいに吸い込むと、なんだかピシッと背筋が伸びる。
これから言うことを頭の中で考えながら歩いていると、いつの間にか愛里の家の前に着いていた。
スマホを取り出して時間を見る。
ちょうど7時――
そろそろ帰ってくる頃だろう。
家の門にもたれるように背中をあずけて、愛里が帰ってくるのを待った。
手に持ったままのスマホをひまつぶしにいじっていると、聞きなれた声がしてパッと顔を上げる。
「美羽……」