初恋マニュアル
おずおずと中に入ったものの、どうしていいかわからなくてその場に立ちすくんでいると、愛里がチラリとこちらを見上げた。



「座ったら?」



言い終えると同時にまた雑誌に目を戻す。


私はロボットになったみたいにぎこちない動きで部屋のドアを閉めると、テーブルをはさんだこちら側に正座した。


愛里がこっちを見ようとしないから、私もそのままだまって様子を見ていると、急にバサッと雑誌を置いて私の方を見た。



「なんか話、あるんでしょ?なに?」



早く終わらせろと言わんばかりの言い方に一瞬ひるんだけど、ちゃんと話すって決めたから、私は一度深呼吸してから口を開いた。



「あのね?」



愛里は返事をするでもあいづちをうつでもなく、ジッと私を真っすぐに見つめてる。



「あの……前に電話で……ごめんね?」



勇気を出してそう口にしたけど、愛里はそれが不満だったらしい。



「なんであやまるの?」


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