初恋マニュアル



――え?だって、愛里が怒ってるから……



そう答えようとして気づいた。


なんでっていうのは、怒ってる意味をちゃんとわかってるのかって聞いてるんだ。


正直、愛里の最後に放った言葉の意味を、私はよくわかってはいない。



『いつだってみんなに守られて可愛がってもらってる美羽には、わかんないよ!』



そう愛里は言ったけど、やっぱり私にはそんな風に思えない。


いつだって愛されてるのは愛里の方で、私じゃないって思うから……



「ごめん、ほんとは愛里が言ったこと、よくわかんないんだ……だって……愛里の方が人気もあるし、みんなから愛されてる……」



その言葉を聞いたとたん、愛里は無表情だった顔をくずしてさみしそうな顔で目をふせた。



「そんなことないよ……三浦くんだって、羽生だって……いつも心配してかまってるのは美羽の方じゃん」



目を見開いて愛里を見る。


まさか愛里がそんなことを思ってるなんて知らなかった。



「私なんか、見た目で寄ってくる人ばっかりだよ。愛されてなんかいないし、だれからも好かれてない」


< 229 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop