初恋マニュアル
――え?だって、愛里が怒ってるから……
そう答えようとして気づいた。
なんでっていうのは、怒ってる意味をちゃんとわかってるのかって聞いてるんだ。
正直、愛里の最後に放った言葉の意味を、私はよくわかってはいない。
『いつだってみんなに守られて可愛がってもらってる美羽には、わかんないよ!』
そう愛里は言ったけど、やっぱり私にはそんな風に思えない。
いつだって愛されてるのは愛里の方で、私じゃないって思うから……
「ごめん、ほんとは愛里が言ったこと、よくわかんないんだ……だって……愛里の方が人気もあるし、みんなから愛されてる……」
その言葉を聞いたとたん、愛里は無表情だった顔をくずしてさみしそうな顔で目をふせた。
「そんなことないよ……三浦くんだって、羽生だって……いつも心配してかまってるのは美羽の方じゃん」
目を見開いて愛里を見る。
まさか愛里がそんなことを思ってるなんて知らなかった。
「私なんか、見た目で寄ってくる人ばっかりだよ。愛されてなんかいないし、だれからも好かれてない」