初恋マニュアル
「そんなことない!」
思わず中腰になってそうさけんでた。
「私は愛里が好きだし、大切な親友だって思ってるもん!」
あんなに自信にあふれてた愛里とは思えなかった。
なんでそんなこと言うの?家族にだって彼氏にだって愛されてるはずなのに……
「ゆうくんだって、愛里のこと好きだからつきあってるんでしょう?」
私は自信満々にそう言ったのに、愛里の顔はますますくもっていく。
ひざを抱えて小さくなりながら、泣くのを必死にこらえてるような、そんな顔。
「ちがう……」
しぼりだすような声でそう言ったあと、愛里はひざの間に顔をうずめた。
「美羽……あたしね?ゆうくんと、別れたんだ……」
「――えっ!」
まさか……あんなに仲が良かったのに、なんで?
しかもたしか、ゆうくんの方から愛里に好きだって伝えたはずなのに……
家庭教師だったゆうくんに告白されて、最初は戸惑ったけど嬉しかったからって受け入れて、愛里の方もどんどん好きになっていったって、あんなに幸せそうに話してくれたのに……