初恋マニュアル



「そんなことない!」



思わず中腰になってそうさけんでた。



「私は愛里が好きだし、大切な親友だって思ってるもん!」



あんなに自信にあふれてた愛里とは思えなかった。


なんでそんなこと言うの?家族にだって彼氏にだって愛されてるはずなのに……



「ゆうくんだって、愛里のこと好きだからつきあってるんでしょう?」



私は自信満々にそう言ったのに、愛里の顔はますますくもっていく。


ひざを抱えて小さくなりながら、泣くのを必死にこらえてるような、そんな顔。



「ちがう……」



しぼりだすような声でそう言ったあと、愛里はひざの間に顔をうずめた。



「美羽……あたしね?ゆうくんと、別れたんだ……」



「――えっ!」



まさか……あんなに仲が良かったのに、なんで?


しかもたしか、ゆうくんの方から愛里に好きだって伝えたはずなのに……


家庭教師だったゆうくんに告白されて、最初は戸惑ったけど嬉しかったからって受け入れて、愛里の方もどんどん好きになっていったって、あんなに幸せそうに話してくれたのに……
< 230 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop