初恋マニュアル
だれにも言えなくて、一人で抱え込んで、がまんしてたんだって思った。


いつもしっかりしている愛里は、ゆうくんにもそう思われてしまったのかもしれない。


愛里が私にあんなこと言ったのは、その彼女に私が似てたから……



「愛里……」



たまらなくなって私は立ち上がると、ひざを抱える愛理の隣に寄り添った。


肩を寄せて愛里の体温を感じながら、自分がいかに愛里に甘えてきたかを反省した。


今まで愛里にたよってばかりで、自分ではなんにもできなくて……


愛里はなんだってできるから、私の気持ちなんてわからないって思ってた。


だけど、私の知らないところで愛里は一人で悩んだり傷ついたりしてたんだと思ったら、親友だなんて口ばっかりの自分がはずかしくなった。


愛里が相談できるほど、私はたよりにならなかったんだろうし、自分のことしか考えられなくて、愛里の変化に気づくこともなかったから……


初めてかもしれない。


愛里がこんなに自分をさらけ出すのは……


それくらい、愛里自身もきっと、限界だったんだ。


だれかに聞いてほしくて、だけどだれにも言えなくて。

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