初恋マニュアル
本当なら私が一番に聞いてあげなきゃいけなかったのに……



「ごめんね?愛里……」



ズッ……と鼻をすする音がして、愛里が顔を上げた。



「……だから、なんで……あやまるのよ」



涙にぬれた愛里の顔は、それでもすごくきれいで……


だれからも愛されないなんて、そんなのうそだと強く思った。


見た目から好きになることはたしかにあるだろう。


私だって、初めて三浦くんが気になりだしたのは、しなやかできれいな指を見たときからだった。


それから彼の声を聞いて、なぜかドキドキしたんだ。


好きだって自覚するのにすごく時間はかかったけど、愛里に近づく人たちはきっと、私よりも早くそれに気づいたんじゃないの?


羽生くんだって、私のことなんかなんにも知らないくせに、付き合ってみない?なんて言ってたわけだから、それは愛里の言う見た目でっていうのと一緒なんじゃないだろうか?


見た目にはその人の印象とか、性格とか、内面からにじみでるいろんな要素も含まれていて、それを引っくるめて好きって言えるんだと思う。
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