初恋マニュアル
だったら、見た目で選ばれるのも、悪くないのかもしれない。



「愛里はきれいで、だから見た目で近づいてくる人も多いと思うけど……でもただそれだけじゃないと思う」



「どういう意味？」



「愛里の雰囲気とか印象とか、そういうのが好きって思ったんなら、それって愛里の見た目だけってことにはならないでしょう？」



愛里が目を丸くして私を見た。


それからゆっくりと目をふせて、そう……なのかな？と小さくつぶやく。



「高校生になってから愛里に告ってきた男子たちも、最初はもちろん見た目で好きになったのかもしれないけど、でもね？それだけで付き合いたいなんて思わないと思うよ？」



私の言葉にピクリと反応した愛里は、でも……と、か細い声を出した。



「でも、ゆうくんは……見た目だけで好きになってくれたのかもしれない……」



「……えっ？」



「付き合ってみて、思ってたのとちがうって感じたから、別の人に気持ちがいっちゃったんじゃないのかな？」



だんだん声が小さくなる愛里を私はぎゅっと抱きしめた。
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