初恋マニュアル
不安で、そばにいる人に安らぎを求めたのかもしれない。


私は経験もないから、えらそうなこと言えないけど、ゆうくんとの話を愛里にねだって聞かせてもらったことを思い出しても、ちゃんと愛里のことが好きだったんだって思える。


なにより、何度か二人に会ったことあるけど、あれがウソだったなんて思えない。



「やっぱりいくら大人っぽく見えても、高校生と大学生とで付き合うなんて無理があったのかなぁ……」



「そんなことない!関係ないよ、そんなの……愛里がゆうくんのこと、すごく好きだったの、私は知ってる。ゆうくんだって、ずっと勉強見てて、愛里の内面も全部わかった上で好きになったんだと思うよ?ただ、付き合い初めてすぐにすれちがいが多くなって、だから近くにいる人に……」



そこまで言って、私は言葉をにごした。


愛里たちは、よく言う遠距離恋愛に近い環境だったんじゃないのかな?



「……わかってる。ほんとはお互い忙しくて……会えなくて……たまに電話で話してても……全然ついていけないっていうか……自分が子供なのを思い知らされてた。だからね?必死で……大人なふりして……さみしいとか会いたいとか言えなかったんだ……バカだよねぇ、あたし……」


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