初恋マニュアル



「愛里……」



手のひらで涙をぬぐう愛里は、少しだけすっきりした顔をしてた。


話すだけ話したから、胸のつかえが取れたのかもしれない。



「美羽、ごめんね?完璧に八つ当たりしてた。私がこんなに落ち込んでんのに、みんなして美羽、美羽ってさ。あんたのことばーっか、心配してるからくやしくなったの。やきもちだったかもね?フフッ」



やっと見せてくれた笑顔に、今度は私の方が泣きそうになる。



「私の方こそ、自分のことばっかりで……愛里がつらかったのに気づいてあげれなくて……ごめん、ね?」



がまんしてたのに、涙がポロポロとこぼれ落ちた。


言葉がつまる。


ショートパンツとニーハイソックスの間からのぞく太ももに落ちた涙は、ツーっと肌を伝って、白いフワフワのラグの上をぬらした。



「仕方ないよ……あたしも美羽に話さなかったんだし。美羽だって羽生のことで困ってるのわかってたのに、助けてあげなくてごめんね?」



なぜか今度は愛里が私をなぐさめていて、私は余計に涙が止まらなくなった。


いじわるしてごめん、なんてあやまってくれる愛里を、責めることなんかできない。
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