初恋マニュアル



「そっか……」



さみしそうな顔で一緒に立ち上がる愛里。



「そういえば……」



「なに?」



「愛里のママ、今日めずらしくいないんだね?」



来たときもだれもいない雰囲気だったことを思い出して、私はそう聞いてみた。



「あ……うん、実はね?おばあちゃんの具合が悪くて、ここのところずっとそっちに行ってるんだ」



さみしそうな表情は、そのせいだったんだと納得してから、あれ?とまた気づいてしまった。



「パパは?」



「2週間、出張でいないの」



「え!じゃあ、愛里一人なの?」



おどろいた。


愛里のパパは前から出張で家を空けることが多かったけど、ママはいつも家にいたからわからなかった。


私とちがって一人っ子の愛里は、ママがいないと一人になるってことなんだ。
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