初恋マニュアル
「ごはんとか、どうしてるの?」
「一応、ママがたまに帰ってきて作り置きしてくれてるから大丈夫。昼は購買で買ってるし」
知らなかった。
昼休みになると、すぐに体育館の裏に行っちゃってたから……
一緒に食べてれば、お弁当じゃないことはすぐにわかるし、一人だってことに気づいてあげられたかもしれないのに。
「愛里、うちに来なよ」
「え?」
「一軒家に一人なんて危ないよ!しかも愛里は特別可愛いんだから、なんかあったら大変!」
愛里の返事を待つことなく、私はいそいでカバンからスマホを取り出して、自宅に電話した。
お母さんに事情を説明すると、すぐにわかってくれて愛里を泊めることをオッケーしてくれた。
電話を切って、愛里に向き直る。
「お母さんもいらっしゃいって。愛里なら大歓迎って言ってたよ?ね?ママが帰ってくるまでうちにおいで?」