初恋マニュアル
愛里の手をにぎって必死に説得すると、目を丸くして私を見ていた愛里が突然プッと吹き出した。



「なんか美羽、たのもしい」



「は?」



「いっつも私のうしろにくっついてた美羽とは思えないくらい行動的」



クスクス笑う愛里を見つめながら、言われた言葉をかみしめる。


そうだとしたら、最近ずっと一人だったからかもしれない。


愛里にはたよれない日々が、私を少しだけ強くしたのかな?なんて思った。


そうだとしたら、私が成長するために必要な儀式だったのかもしれないと苦笑する。


愛里がママにうちに泊まることを電話で伝えるのを待ってから、少し大きめのカバンに身の回りのものを詰め込んだ。


たまに荷物は取りにくればいいよね?って言いながら、着替えも2、3着だけにして外に出る。



「美羽んちにお泊まりなんて、いつぶりだろう?」



戸締りを確認しながら愛里がそう楽しそうな声を出す。



「中二以来かなぁ?」



中学二年まではよくうちに泊まりに来てたけど、妹が中学生になってからはなんとなく愛里の家に泊まらせてもらうことの方が多くなっていた。
< 245 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop