初恋マニュアル
愛里は一人っ子だから、美羽ちゃんが来てくれると楽しくていいわって、いつだったか愛里のママが言ってくれたっけ。


ついさっきまでけんかしてたのがうそみたいに、私たちは仲良く並んで夜道を歩いていく。


愛里の言う通り、ずっと甘えてばかりだった自分なのに、なぜか今は愛里が可愛く見えて、たよるよりもたよられたいって気持ちになってる。


愛里を守らなきゃなんておこがましくも思ってる私を知ったら、どんな顔をするんだろう?


ぶらぶらと手持ちぶさただった手を、愛里のあいてる方の手にそっとからめた。


愛里はそれを振り払うことなく、ゆらゆらと前後に揺らしながら歩いてく。


一緒に過ごせる時間をあれこれ想像しながら、私は来るときとはちがう満ち足りた気分で、つないでいる愛里の手をキュッとにぎり直した。
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