初恋マニュアル



「今日だけだからね?明日からはビシビシ勉強するよ?」



そんなきびしいことを言われても、目先のドーナツと愛里と一緒に帰れることがうれしくて全然聞いてなかった。


美味しいって評判の最近できたドーナツ屋さんは、実は一度来てみたかったお店。


本当は学校帰りの寄り道は禁止なんだけど、今日は特別。


だってめったにない愛里との2人の時間だもの。


衣替えのすんだ10月中旬なだけあって、お店にはブレザーやセーターなんかを羽織った女の子が多い。



「わぁ、混んでるね?」



「みんな試験前で帰りが早いんだろうね?」



それでも来るのが早かったのか、いくつか席は空いていた。


カバンと上着で席を取ってから、ドーナツを選びに列に並ぶ。


チョコのもいいなとか、クリームが入ってるのも美味しそうとか、あれこれ言いながら好きなドーナツを取っていく。


愛里はシンプルなプレーンのドーナツとチョコのドーナツ、それにカフェオレ。


私はカスタードクリームのドーナツに栗のドーナツ、それとココアをたのんだ。


ハロウィン限定のドーナツも魅力的だったけど、お財布と相談してがまんした。
< 248 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop