初恋マニュアル
席に戻ってココアを一口飲んだところで、愛里が由宇ちゃんと五十嵐くんの話をしてきて、私はおもいきり吹き出しそうになった。



「えぇー!由宇ちゃん、五十嵐くんと、キ、キス?」



最後は自然と小声になりながら、愛里に顔を寄せてそう聞き返した。



「そ、だから美羽だけかもねぇ、置いてきぼりなの」



ニヤリと笑う愛里の目的はわかってる。


早く三浦くんに告白しろって意味だ。


羽生くんのことは、あれからクラスの女子に愛里が説明してくれて、さわがれることもなくなった。


だから友達としてちゃんと話せてると思うし、たまにLINEもしてる。


愛里はといえば全面的に私の初恋を応援してくれるらしく、はりきるのはいいんだけど今みたいにプレッシャーをかけてくるようになった。


それがやなんだって前にも言ったのにって思ったけど、ゆうくんのことで傷ついてた愛里が、それで元気が出るならそれもいいかなと思えるようになった。



「でも、夏帆ちゃんは?彼氏とかいないじゃん」



そう、夏帆ちゃんは彼氏がいないってたしか言ってた。


だったら、私だけ置いてきぼりっていうのは変だ。
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