初恋マニュアル
変に否定したら、またどこかに連れていかれるような気がしてこわかった。



「そうなんだ?つーか、友達、すげー可愛くね?」



「おー、ほんとだ、ちょー可愛いじゃん」



二人は愛里に目をとめて、ジロジロと見てくる。



「なぁ、友達、紹介してよ?」



「名前、なんていうの?」



――ど、どうしよう!愛里がねらわれてる!



とっさにかばおうとして一歩前に出たのに、愛里はしれっとそれに答えてる。



「やまざきはるこです。三浦くんのお友達なんですか?」



ーーやまざき……はるこ???……だれ!それ!



愛里は笑みさえ浮かべて、さっきの二人となごやかに話してる。


こういうときの愛里の度胸には、まだまだ勝てない。


きっとほんとの名前は言いたくないけど、言わなきゃ言わないでめんどうくさいと思ったんだろう。
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