初恋マニュアル



「へぇ、どおりでそっちのちっこいのは、ガキみたいだと思った」



からかうような、バカにしたような、ツンツン頭のそんな声。



「ガキのくせに先輩と付き合うとか、意外とやるじゃん?孝弘も年下好きかよ」



「や、あいつ中学のころから下級生からモテてたじゃん」



ゲラゲラ笑いながら、三浦くんの話で盛り上がる2人。


この人たちは、知らないんだ。


三浦くんが私たちと同じ高一として今の学校に通ってることを。



「あの!私たち、これから三浦くんと待ち合わせしてるので失礼します!」



ふるえる私の手をキュッとにぎって、愛里が早口でそう言ってくれた。



「なんだよ?これから?」



「はるこちゃんだけ残れば?」



勝手なことを言う2人に、今度は私が必死にさけぶ。



「この子にも彼氏、いるんです!それでこれから4人で遊ぶ約束をしているので!」



すみません、失礼します!と頭を下げて、私は愛里のうでをグイグイ引っ張って駅へと早足で歩いていく。
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