初恋マニュアル
私だけが感じてるかもしれない三浦くんの違和感を、愛里に言ってもわからないかもしれない。


だからとりあえず、そう伝えてみた。



「やっぱり……その方がいいのかなぁ」



いまいち納得してないような言い方だったけど、私の意見を尊重しようとしてくれてる。


それにもし反対されたとしても、ここは引けない。


あの夏祭りの日に、あの2人と三浦くんが話してるのを直接見たのは私だけだ。


あのときの微妙な空気感は、私にしかわからない。



「うん、その方がいいと思う」



私はもう一度そう念を押すと、この話はもうおしまいとばかりに目を閉じた。


豆電球はついてるものの、暗闇だと愛里の顔ははっきり見えない。


そもそもベッドと布団だから段差のせいで仕方ないんだけれど……


静かになったから、寝ちゃったのかな?と思ったときだった。



「美羽さ」



「え?」



「三浦くんのこと、やっぱり好き?」



改まって聞かれると、なんとも答えにくい。


だけど愛里にはちゃんと言うって決めたから、答えなきゃ。



「あ……うん」



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