初恋マニュアル
さすがに好きって言葉に出して言うのははずかしくて、そう返事をしてみた。


てっきりひやかされると思ってたのに、愛里の言葉は意外なもので……



「羽生にしとけば?」



一瞬、愛里の言った意味がわからなくて、言葉が出てこなかった。


まさか、そんな風に言われるなんておもってなかったから。


だけど、愛里は本気みたいで、真剣な声で話を続ける。



「三浦くんはさ、なんかワケアリっぽいし……美羽には荷が重そうな気がする」



きっぱりとそう言った愛里は、それきりなにも言わなかった。


荷が重いか……


たしかに恋愛初心者にはハードルが高すぎるのかもしれない。


羽生くんとなら、中学生らしいさわやかカップルになれそうな気もする。


大人っぽい三浦くんと、自分がつり合わないのはわかってるけど……


でも、やっぱり頭にいつも浮かぶのは羽生くんより三浦くんのことばかりだ。


愛里は心配してくれてる。


それと同時に三浦くんへの信頼も失われてるような気がした。


あの南高のチャラい男子たちと友達だったという三浦くん。


私たちより2つも年上だった三浦くん。



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