初恋マニュアル
だけど私は思うんだ。


三浦くんは絶対悪い人じゃないって。


今までのやさしくて思いやりのある三浦くんは、うそじゃないんだって。


たとえ、あの人たちと知り合いだったとしても、何か事情があるにちがいないんだって。



「愛里」



「ん？」



「やっぱり……私、三浦くんが好き」



「……」



「過去になにかワケがあったとしても、今の三浦くんはうそじゃないと思うから……」



これだけはっきりと愛里に自分の思いを伝えたのは、初めてかもしれない。


それに、三浦くんがワケありだから羽生くんにするなんて、そんなのダメだ。


羽生くんがいいひとなのはわかってるし、友達として好きだけど、だからこそそんな気持ちで付き合うなんてできない。


それにこの気持ちを、三浦くんにまだ伝えてもいないのに、そんなに簡単に終わらせたくはなかった。



「そっか……あのくらいじゃ美羽の気持ちは変わんないってことか」



心なしか愛里の声がうれしそうだ。



「わかった、今まで通り応援する」



< 264 / 392 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop