初恋マニュアル
ふいにそう聞かれて、ちょっとだけ胸がちくりと痛む。


もしかして、愛里に会いたかったのかな?なんて思ってしまったから。


だけど、どうやらそういう意味じゃなかったみたいで……



「や、ほら。須藤なら丸山より背が高いから、上の方も消してくれそうなのにって思ってさ」



たしかに愛里は中学のころから背が高くて、今は160cmくらいはあると思う。


私は150cmだから10cmはちがう。


純粋に私の心配をしてくれていた三浦くんを、疑った自分がはずかしくなってあわてて三浦くんの質問に答えた。



「あ!うん、愛里は部活だから……」



三浦くんはそっかと言ったあと少しだけ首をかしげて、黒板の向こう側から私の顔をじっと見てくる。


窓からオレンジ色の光が三浦くんを照らして、なんだかすごくきれいに見えた。



「あんなに仲いいのに、丸山は同じ部活に入らなかったの?」



急にかけられた言葉にドキっとした。


まさかそんなことを聞かれるとは思ってなかったからだ。
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