初恋マニュアル
「あ、こっちこそごめんね?部活に行く前に呼び出したりして……」
「いや、ちょっと用があるからおくれるって言ってきたから大丈夫。で?話ってなに?なんかあった?」
心配そうな顔は、夏休みのカフェで見せた顔と同じもの。
私がクラスになじめなくて、愛里にばっかりくっついてるのをしかられたときのあの顔だ。
「でも、須藤とも仲直りしたみたいだし、そのことじゃないよね?」
急にそう言われておどろいた。
「知ってたの!?」
おもわずそう聞き返す。
愛里とけんかしたとき、三浦くんには相談もしなかったし、気付いてないと思ってたから。
「たぶん、クラス中が知ってたと思うよ?」
「えぇっ!」
クスクス笑いながらそう言った三浦くんは、赤に黒のラインが入ったジャージを着た肩をゆらす。
「あぁ、ごめんごめん。でもいっつも一緒にいたのに、昼休みも別々だったら、普通気づくでしょ?」
そっか、そういえば、羽生くんもそれに気付いて心配してくれたんだっけ。