初恋マニュアル
私は自分の気持ちを伝えることも出来ないの?
「丸山?」
いつの間にか私は三浦くんをにらむように見ていた。
そんな私を、彼は不思議そうに呼び戻す。
「迷ってなんかない。私が好きなのは、み……」
「あのさ」
なんで?なんで、さえぎろうとするの?
私、まだ言えてない。言えてないのに……
「もし……俺が好きとか言うつもりなら、かんちがいだとおもうよ?」
――え?
かんちがい?私のこの気持ちが?好きだって言っちゃ、ダメってこと?
なんで……フラれるならまだわかる。
普通に好きだって伝えて、それでダメなら断ればいい話だ。
なのになんで言うことさえゆるされないの?
ずっと悩んで悩んでようやく好きだって伝える決心がついたのに、なんで……
頭の中はなんで?って言葉しか浮かんでこない。
ぼうぜんと彼の顔を見つめる私から、三浦くんは気まずそうに視線をそらした。
「俺は……丸山が思ってるほどいいやつでもないし、好きとか言ってもらえる資格もないから……ごめん」