初恋マニュアル
涙
「美羽!ちょっと大丈夫?」
バタンと乱暴に開けられたドアはそのままに、愛里が部屋に入るなりそう言った。
真っ暗な部屋にひとりベッドで布団をかぶっていた私は、突然視界が明るくなって目をパチパチさせる。
布団を引っぱがされたことに気づいたのは、愛里の顔が目の前に飛び込んできたからで。
「おばさんも心配してるよ?ご飯もいらないって言ってたって?」
ベッドに腰かけて私を上から見下ろすように、愛里は心配そうにそう言った。
「……ごめん」
とりあえずあやまったけど、それ以上なにも話す気にはなれなかった。
声を出したらまた泣いてしまいそうだったから。
きっと泣きすぎたせいで目もはれてひどい顔になってる。
目がうまくあかないのもまぶしいだけじゃないのかもしれない。
「三浦くん……だよね?」
遠慮がちにそう聞かれて、私は小さくうなずいた。
「そっか……」
愛里はそれ以上つっこむことなくそう一言だけつぶやくと、大丈夫っていうように私の手をキュッとにぎってくれてる。