初恋マニュアル
でも、ごめんってあやまった三浦くんの、本当の気持ちは見えてこない。


たとえば、好きな人がいるからとかそんな理由だったら、それはそれで悲しいけどそれでもきっとあきらめがつくような気がする。


資格がないって、三浦くんは言った。


その意味は教えてくれなかったけど、何度もごめんてあやまられてるうちに、私が男子に対してトラウマがあるように、もしかしたら三浦くんにもなにかがあるのかもしれないって思った。


私の涙をそっとふいてくれた三浦くん。


泣きじゃくる私に胸を貸してくれた三浦くん。


あれはただやさしいってだけなのかな?


私のこと、少しは好きでいてくれたんじゃないのかな?



「美羽?」



愛里にそう呼ばれてハッとした。


ダメだ。フラれたっていうのに、私は全然あきらめられてない。



「あ……ごめん」



「三浦くんだけが男じゃないよ?」



元気づけようとしてくれてるのがわかるから、私も「そうだね?」とあいづちをうった。



「私もね?ゆうくんだけが男じゃないって、思うことにしたんだぁ。だって、私モテるじゃん?」



おどけたように笑いながらそう言った愛里だって、きっとまだゆうくんを引きずってる。
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