初恋マニュアル
だけど私をはげますためにそう言ってくれてるんだ。



「私たち、二人してフラれちゃったね?」



泣き笑いみたいな顔でそう言えば、愛里もアハハとわざとらしく笑った。


そうでもしないとつぶれちゃいそうで、たいしたことないんだと思いたかったのかもしれない。



「でもね?愛里……」



「ん?」



「三浦くん、自分には好きだって言われる資格がないって……言ったんだ」



悲しそうにそう言った三浦くんの顔が、頭によみがえってくる。


なんであんなこと言ったんだろう?資格ってなに?



「資格……か。やっぱり年上だってことになにか関係があるのかな?」



「私もそう思った。でもね?聞けなかったんだ」



三浦くんはやんわり私を拒絶して、それ以上はふみこませないような空気を出してた。


だから私は泣くことしかできなくて、結果的にあんな形で困らせちゃったんだけど。



「聞かれたくないことなんだろうね?かくしてるってことはさ」



「うん……」


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