初恋マニュアル



「あ……えっと……私はあんまり運動が得意じゃなくて……」



仕方なくそう答えると、三浦くんはふうんと言いながら小さく笑った。



「じゃあ、丸山は部活をがんばってる須藤のこと、応援してあげてるんだね?」



「え?」



言われた意味がよくわからなくて、おもわず聞き返してしまう。



「だってさ、黒板、届かないのわかってて、須藤にはたのまなかったんでしょ?早く部活行かせてあげたかったのかなぁとか思ってさ」



そんないいものではなかったけど、そんな風に思ってくれたことがうれしかった。


ほんとは少しでも愛里にたよらないで、一人でやらなきゃって必死だっただけなんだけど……それはあえて言わないでおく。



「でも、丸山の背じゃ絶対上の方無理なんだから、今度からちゃんともう一人の日直に言ったほうがいいよ?」



ね?とやさしくほほえまれて、私はうなずくことしかできなかった。


こんなとこで無理だなんて言ったって、わかってもらえないに決まってる。



「あんなに一生けんめいはねてたのに、全然消せてなかったの気づいてた?」



また思い出したのかクスクス笑う三浦くん。
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