初恋マニュアル
三浦くんはこれからもそうやって、だれかを好きになることはないのかな?


それとも好きになったとしても、資格がないってあきらめるんだろうか?


そんなの、悲しすぎる。


たとえば、私じゃなかったとしても、自分の幸せを手放すようなことはしてほしくない。


あの夏休みのカフェで私に言ってくれた言葉は、自分に対してのものだったの?


私のトラウマを聞いてくれて、こわくないからがんばれって言ってくれたあの言葉は……


そこまで考えて、ふと気づいた。


そういえば、あそこのカフェは、三浦くんのお姉さんがやってるんだっけ。


たしかうちからもそんなに遠くなかったはずだ。


お姉さんに聞けば三浦くんのことなにかわかるかもしれない。



「愛里」



「なに?」



「今度の休みに、付き合ってほしいとこがあるんだけど」



「今週は部活ないからいいけど……どこ行くの?」



「前に、三浦くんに連れていってもらったカフェ……なんだけど」



「あぁ!夏休みの?」



愛里には、そこが三浦くんのお姉さんのお店だって話してあった。


だからすぐに私の目的を理解してくれたみたいだ。
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