初恋マニュアル



「そうかもね!」



二人して夢中で食べてるうちに、愛里が思い出したように私を見る。



「ねぇ?私たち食べてる場合じゃなくない?」



そうだった、忘れてた!



「どうやったらお姉さんに話を聞けるかな?」



「それ、さっきも言った」



また振り出しに戻ってる。


あれからお姉さんは、こっちに来てくれる様子もないし、私たちはどうしていいのかわからなかった。


ほとんど食べ終わってしまうと、なんだかいづらくなる。


仕方なく帰ることにして、レジで少し話せればいいなぁと期待をよせた。



「ありがとうございました」



レジでお金を払いながら、お姉さんの様子をチラリとうかがう。


さっきの質問に答えてくれないかなって思いで。


その視線に気づいたお姉さんは、やっぱり困ったような顔をしていて……



「俊弘の歳……だよね?」



と、悲しそうに笑った。
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