初恋マニュアル
悲しそうな辛そうな顔で、当時の三浦くんのことを思い出しながら話してくれる早苗さんに、自分で聞いたくせに耳をふさぎたくなる。
「あの人が死んで一年がたった頃、お母さんに言われたの。離婚して新しい人生やり直しなさいって。あなたにはあなたの人生があるんだからって。でも……私はそうしなかった。そのとき思い出したの。私と俊弘の夢を……店をやることであの人の供養になるような気がしたから」
前に三浦くんに聞いたことがある。
この店は、まだ開店したばかりだってこと。
もうすぐ一年になるんだって、自分のことのようにうれしそうに話してた。
「そうおもえたらようやく孝弘くんともちゃんと向き合えるようになった。だから孝弘くんにも言ったの。お兄ちゃんのためにも、ちゃんと学校に行きなさいって。私もちゃんと自分がやるべきこと見つけたからって。南校は休学ってことにしてもらってたからそのまま本当は通えたんだけど、孝弘くんはそれを拒否したの。ちゃんと一年生からもう一度やりなおしたいって。だれも自分を知る人のいない学校できちんと高校生活を送りたいって。それで、あなたたちと同じ高校を受験したのよ?」
一度言葉を切ってから、早苗さんは少しだけ笑って私たちを交互に見る。
「あの人が死んで一年がたった頃、お母さんに言われたの。離婚して新しい人生やり直しなさいって。あなたにはあなたの人生があるんだからって。でも……私はそうしなかった。そのとき思い出したの。私と俊弘の夢を……店をやることであの人の供養になるような気がしたから」
前に三浦くんに聞いたことがある。
この店は、まだ開店したばかりだってこと。
もうすぐ一年になるんだって、自分のことのようにうれしそうに話してた。
「そうおもえたらようやく孝弘くんともちゃんと向き合えるようになった。だから孝弘くんにも言ったの。お兄ちゃんのためにも、ちゃんと学校に行きなさいって。私もちゃんと自分がやるべきこと見つけたからって。南校は休学ってことにしてもらってたからそのまま本当は通えたんだけど、孝弘くんはそれを拒否したの。ちゃんと一年生からもう一度やりなおしたいって。だれも自分を知る人のいない学校できちんと高校生活を送りたいって。それで、あなたたちと同じ高校を受験したのよ?」
一度言葉を切ってから、早苗さんは少しだけ笑って私たちを交互に見る。