初恋マニュアル
「そのことだったんでしょ?聞きたかったことって。なんで年上なのに自分たちと同じ学年なのか……」
私も愛里も黙ったまま口を開くことが出来なかった。
あまりに辛い現実を目の当たりにして、何をどう話していいのかもわからなかった。
早苗さんに問いかけられてるのに、返事をすることさえ出来ない。
今日はいつもよりテンションが高かった愛里も、私と同じように固まっていた。
「責めてるわけじゃないのよ?どっかで孝弘くんが年上だって知ったんでしょ?なんでなのかって、気になるのは仕方ないわ……」
なぐさめるように静かな口調で言った早苗さんの前で、私は自分の浅はかさを後悔した。
誰にだって知られたくない過去はあるわけで、やっぱりそれをこんな風に興味本意で聞いちゃいけなかったんだ。
私は自分のトラウマを三浦くんに話して、すごく気持ちが軽くなったけど、それは直接伝えたからで……
もし、三浦くんが私に直接話してくれたんなら、こんな気持ちにならなかったのかもしれない。
こんな悲しい過去を知ってしまって、私はこれから三浦くんに対してどう接していいのかわからなかった。