初恋マニュアル
自分がもし、早苗さんの立場なら同じことを思うかもしれない。


でも、もし三浦くんの立場でも、同じように思うか もしれないんだ。



「ね?美羽ちゃん」



しっかりと私を見て、早苗さんは話を続ける。



「もし、まだ孝弘くんが好きなら、あの子を助けてあげてほしいの。そばにいてあの子の傷をいやしてあげて欲しい」



出来ることなら、私だってそうしたい。


けど、フラれてる今、どうしたらいいのかわからない。


いやしてあげてって言われても、私に出来ることって何?



「ちょっと待ってください」



ずっと黙っていた愛里が、急に口をはさんできて、早苗さんと私は同時に愛里の顔を見た。



「三浦くんの事情はわかりました。辛かっただろうなって思います。でも、美羽にこれからもむくわれないかもしれないのに、思い続けろっていうのは、ひどくないですか?」



「ちょっと愛里?」



愛里の肩に手を置いて、止めようとした。


だって、ここまで話してくれた早苗さんに、反論みたいなこと言ってほしくなかったから……



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