初恋マニュアル
でも愛里はそれを振り切るように続ける。



「まだ私たちは15歳で、これからたくさん恋をする権利あると思うんです。実際、美羽のことを好きだって言ってる男子だっているし……それなのに、それを全部捨てて、三浦くんのことだけ思ってたら、美羽はこの先だれとも付き合えなくなると思うんです」



「愛里……」



「私は、美羽に普通に恋して、普通に彼氏を作ってもらいたい。まだ付き合ったこともない美羽が抱えるには、重すぎます。ひどいこと言ってるのはわかってるけど、早苗さんが三浦くんが大事なように、私も美羽が大事だから……ほんとは、美羽にきちんとあきらめてほしくて、ここに来たんです。美羽には三浦くんは無理だってこと知ってほしくて……」



泣きそうになるのを必死にこらえるように愛里はそっと目をふせた。


知らなかった。


私はてっきり愛里も私の三浦くんへの恋を応援してくれてるんだって思ってた。


心配してくれてるのはわかってたけど、まさかあきらめさせようとしてたなんて……


たしかに、私が三浦くんをいやせるなんて思ってない。


背負うには重すぎると思う。


愛里の気持ちもわかるだけに、私は否定できなかった。
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