初恋マニュアル
きっと愛里だって三浦くんや早苗さんの苦しみをよくわかってるはずだ。


それでも早苗さんに噛みついたのは、全部私のため。


バカな私が、早苗さんの言葉にとらわれないように、必死で守ってくれようとしてる。



でも、でもね?愛里……



私はもう決めちゃってる。


せっかくそんな風に私をかばってくれたのに、もう私の心は決まってるんだ。



「……そうね?愛里ちゃんの言う通りだわ。都合のいいように、美羽ちゃんを利用しようとしてたのかもしれない。ごめんなさい……誰にも美羽ちゃんの気持ちをしばる権利はないものね?美羽ちゃん、私の言ったことは、忘れて?」



悲しかった。


私のために、早苗さんも愛里も、考えて考えて答えを出してくれたのに……


それは相反するもので、私を思ってくれてるのは同じなのに、出した答えは真逆だった。


私のために辛い過去を語ってくれた早苗さん。


私のためにあえて早苗さんを批判した愛里。


どっちの気持ちもわかるだけに、私は自分の意見を伝えることが出来なかった。


どっちに転んでも、どちらかを傷付けることになる。
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