初恋マニュアル
だから私は言えなかった。


三浦くんを思い続ける選択をしたことを……


そう簡単にあきらめられないってことが、早苗さんの話を聞いていてわかったから。


さっきまでは三浦くんにどう接したらいいのかわからなかったけど、そばにいることなら出来る。


三浦くんが私を心配してくれたみたいに、私も三浦くんを心配したっていいはずだ。


だけどそれはだれかに宣言しなくたっていいもの。


私は私の中で、そっと三浦くんを思って、心配して、そばにいられたら、それでいい。


だから、私は何も言わなかった。


自分の思いは隠して、二人に納得いく答えを出さなきゃならない。


愛里と早苗さんを前にして、私はどう答えるべきか考えた。



「あの!」



そう声をかけると二人が私に注目する。



「三浦くん、最後に言ってくれたんです。私のこと……大事な友達だって。だから私も友達として、彼のそばで見守るくらいは出来ると思う。愛里の言うように、恋だってしたい。好きな人を作って、三浦くんに相談できるくらいになれたらいいなって思う……それじゃダメかな?」



< 309 / 392 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop