初恋マニュアル



「話が……あるんだけど」



「え?」



うつ伏せのまま顔だけ愛里の方を向けると、何かを決意したみたいな顔で私を見る。



「どうしたの?愛里」



ただならぬ雰囲気に私は体を起こして、愛里に向き直った。



「私ね?」



「……うん」



ゴクリと唾を呑み込む。


なんだなんだ?


なんの告白?


なんか……ドキドキする……



「美羽、あたし」



「うん」



「好きな人出来た……かも」



「うん」



え?好きな……?人ぉぉぉぉぉ!!!!



「嘘!誰!?学校の人?同級生?それとも先輩?」



愛里ってばいつの間に?


ゆうくんにフラれてから、そういうのはしばらくいいとか言ってたのに。


や、でもそれはそれで喜ばしいことなんだけど……



「美羽にはさ、言っとかなきゃなーって、思ってさ」



なんか……すっごい罪悪感。


私は三浦くんのこと、何一つ言ってないのにな?



「でも、内緒」



「は?」



「好きな人がいるってことは、ちゃんと言ったからね?」



フフンって得意気に言い終えて、愛里は振り向いていた体を元に戻した。
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