初恋マニュアル
はぁ?なにそれ!


そこまで言っといて、内緒ってなんなの?



「ちょっと、愛里?なんで教えてくれないのよ!」



ベッドから飛び降りて、愛里の前に回り込んだ。



「美羽だってなんか隠してるでしょ?だからおあいこ」



うっ……それを言われると、何も言えない。



「なんでそんなに落ち込んでんのか、ちゃんと教えてくれたら私も教える」



「お、落ち込んでなんか……」



「ないって言える?」



「……」



でも言えない!絶対言えない!


三浦くんに抱き締められたなんて……


しかもそれで付き合うことになりました、とかならまだいいけど違うし。


放課後の誰もいない教室と廊下の狭間で、どのくらいの時間、私は抱き締められてたんだろう?


涙でぐちゃぐちゃになった顔を、彼の胸に押し付けられて、どうしていいかわかんなかった。


やがてフッと緩められた腕が私をゆっくりと離して、三浦くんはまた悲しそうな顔で、ごめん……て謝ったんだ。


謝るってことは、私を受け入れるわけじゃないってことで……


それに対してのごめんなのか、抱き締めたことへのごめんなのか、私にはよくわからなかった。
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