初恋マニュアル
そのまま部活に戻っていく三浦くんの背中を眺めながら、私はその場から動けなくて……


涙がすっかり乾いた頃、ようやくのろのろと落としてしまった日誌を拾い上げた。


さっきまで三浦くんの体温を感じていた体が、今はすーすーする。


抑えていた気持ちが溢れだしそうになるのを必死で堪えながら、私は自分で自分の体を抱き締めた。



「美羽?ちょっと、美羽!聞いてんの?」



愛里の声にハッとする。


ヤバい……三浦くんのこと、思い出してた……



「あ……ごめん、なんだっけ?」



「やっぱり変だよ、美羽」



「そんなことな……」



真っ直ぐに見つめる愛里の目に、私は言葉を詰まらせる。



「なんかあった?その……三浦くん……とさ」



「え……」



ずっとその名前を避けてた愛里が、それを出したことに驚いた。



「わかるよ、それくらい。美羽がそんなに落ち込む理由なんか、それしかないでしょ?」



泣きそうになった。


ほんとは言いたくなかったに違いないのに、私のために敢えて聞いてくれてる。
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